個人のお客様へ-贈与税

思いやり と 思い込み

薔薇ブーケ

贈与税は、相続税の補完税とされています。そのため、より高額の財産を譲受けた者からは、より多くの租税を徴収し、富の再分配を行うという観点から、財産の多寡に応じて累進税率が適用されます。

贈与税の税率は相続税よりも高く設定されています。これは、相続財産を生前に贈与すれば、相続税の課税機会がなくなり、相続税の存在意義がなくなるからです。贈与は将来の相続税負担を軽減する目的で行われることが多いため、事前の財産移転に対して一定の規制をかけているのです。それだけに、相続対策とし行う生前贈与では、贈与の証拠を残すことが重要となります。すなわち、生前贈与によって被相続人から他の親族等に財産が移転していたとしても、贈与の事実を証明できなければ、被相続人の相続財産に加算され、結局は、相続税が課されてしまうことがあるからです。

贈与とは、個人が財産を相手方へ無償で与える意思を示して、相手方がこれを承諾することで成立します。相手方の承諾があったかどうか分からない場合、基本的には相続財産に加算されます。例えば、生前に預貯金や株式の名義を、相続人等の名義にしていたとしても、実質的に被相続人が管理・支配していたと認定されれば、生前贈与が認めてもらえません。遺族への思いやりとして、計画的に基礎控除額(110万円)前後の金銭贈与等を繰り返して、相続財産を減らす対策を実行したつもりでいても、

ビジネスマン11

実は、被相続人の思い込みによる相続対策であって、相続税の税務調査では、贈与の事実を認めてもらえず、相続財産に加算されることで、結局、遺族に高額な相続税が課されたり、遺産分割協議で揉めることがあります。

しかし、税務調査時に贈与が認めてもらえないと不利なのか、というと必ずしもそうではありません。被相続人から流出した財産が高額であり、かつ、贈与税が無申告の場合などでは、相続財産に加算される方が税負担は軽くなります。つまり、より高い贈与税の累進課税が行われないで済む上に、申告漏れの贈与税に対する無申告加算税や延滞税が課されないからです。相続対策としての生前贈与は、本来、基礎控除などを利用して、贈与の証拠を残しながら、贈与後の資産の管理状況をも踏まえながら行うものです。

相続対策は、残された遺族への思いやりです。しかし、思い込みの相続対策は、遺族に予想外の税負担と争いを残します。生前贈与については、相続時精算課税制度を利用する方が有利な場合もありますし、計画的に生前贈与を行う方が有利な場合もあります。教育資金非課税制度についても、制度をよく理解した上で、状況に応じて利用すべきです。さらに、信託を利用して相続対策をすれば、贈与の事実が税務上の問題となるトラブルも解消されます。

本

相続対策としての生前贈与は、状況に応じてケース・バイ・ケースで行うものであり、その方法は多岐にわたります。相続人の納税資金の確保も検討すべきであり、片手落ちの計画は大火傷のもとです。事前の準備と対策が効果の大小に影響しますので、早めのご相談をお待ちしております。

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