国税庁ホームページより抜粋

No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

1 制度のあらまし

 平成2411日から平成261231日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年315日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する一定の家屋の新築若しくは取得又は一定の増改築等の対価に充てて新築若しくは取得又は増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金のうち一定金額について贈与税が非課税となります(以下、「非課税の特例」といいます)。

2 受贈者の要件

 次の要件の全てを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。

(1) 次のいずれかに該当する者であること。

イ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること。

ロ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。

(2) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。
 なお、直系卑属とは子や孫などのことですが、子や孫などの配偶者は含まれません。

(3) 贈与を受けた年の11日において20歳以上であること。

(4) 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。

() 「合計所得金額」については、コード1170を参照してください。

3 住宅取得等資金の範囲

 住宅取得等資金とは、受贈者が自己の居住の用に供する一定の家屋を新築若しくは取得又は自己の居住の用に供している家屋の一定の増改築等の対価に充てるための金銭をいいます。

なお、一定の家屋の新築若しくは取得又は一定の増改築等には、次のものも含まれます。

·    その家屋の新築若しくは取得又は増改築等とともにするその家屋の敷地の用に供される土地や借地権などの取得

·    住宅用家屋の新築(住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の翌年315日までに行われたものに限ります。)に先行してするその敷地の用に供される土地や借地権などの取得

 ただし、受贈者の一定の親族など受贈者と特別の関係がある者との請負契約等により新築若しくは増改築等をする場合又はこれらの者から取得する場合には、この特例の適用を受けることはできません。

4 一定の家屋及び増改築等の要件

(1)  一定の家屋の要件
 一定の家屋とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。
 なお、居住の用に供する家屋が二つ以上ある場合には、贈与を受けた者が主として居住の用に供すると認められる一つの家屋 に限ります。

イ 家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)50平方メートル以上240平方メートル以下であること。

ロ 購入する家屋が中古の場合は、家屋の構造によって次のような制限があります。

() 耐火建築物である家屋の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること。

() 耐火建築物以外の家屋の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されたものであること。
   ただし、地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、一定の「耐震基準適合証明書」又は「住宅性能評価書の写し」により証明されたものについては、建築年数の制限はありません。

ハ 床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。

(2)  一定の増改築等の要件
 一定の増改築等とは、贈与を受けた者が日本国内に所有し、かつ、自己の居住の用に供している家屋について行われる増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事のうち一定のもので次の要件を満たすものをいいます。

イ 増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。なお居住用部分の工事費が全体の工事費の2分の1以上でなければなりません。

ロ 増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されること。

ハ 増改築等後の家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)50平方メートル以上240平方メートル以下であること。

5 受贈者の一定の親族など特別の関係がある者の範囲

(1) 受贈者の配偶者及び直系血族

(2) 受贈者の親族((1)以外の者)で受贈者と生計を一にしているもの

(3) 受贈者と内縁関係にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの

(4) (1)から(3)に掲げる者以外の者で受贈者から受ける金銭等によって生計を維持しているもの及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの

6 非課税限度額

 次の区分により、平成2411日から平成261231日までの間の受贈者1人についての非課税限度額(注1)は、原則として次のとおりとなります。

(1) 省エネ等住宅(注2)の場合
 最初に非課税の特例を受けようとする住宅取得等資金の贈与を受けた年に応じて、次の金額が非課税限度額となります。

イ 平成24年のときは1500万円

ロ 平成25年のときは1200万円

ハ 平成26年のときは1000万円

(2) (1)以外の住宅の場合
 最初に非課税の特例を受けようとする住宅取得等資金の贈与を受けた年に応じて、次の金額が非課税限度額となります。

イ 平成24年のときは1000万円

ロ 平成25年のときは 700万円

ハ 平成26年のときは 500万円

(1) 既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額になります。

(2) 「省エネ等住宅」とは、省エネ等基準(省エネルギー対策等級4相当以上であること、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であること又は免震建築物であることをいいます。)に適合する住宅用の家屋であることにつき、住宅性能証明書、建設住宅性能評価書の写し、又は長期優良住宅認定通知書の写し及び認定長期優良住宅建築証明書などを、贈与税の申告書に添付することにより証明がされたものをいいます。

なお、平成21年分から平成23年分において、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」の適用を受けている場合は、平成24年分から平成26年の贈与でこの非課税の特例の適用を受けることはできません。

7 非課税の特例の適用を受けるための手続

 非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年21日から315日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に計算明細書、戸籍の謄本、住民票の写し、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

配偶者の親から住宅取得等資金の贈与を受けた場合

Q1 配偶者の親から住宅取得等資金の贈与を受けた場合でも、非課税の特例の適用は受けられますか。

A1 自己の直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合には非課税の特例の適用を受けられますが、配偶者の親は直系尊属には含まれませんので、質問の場合には非課税の特例の適用を受けることはできません。

祖父と父の両方から住宅取得等資金の贈与を受けた場合

Q2 私の平成24年の合計所得金額は2,000万円以下ですが、私が平成24年に祖父と父の両方から省エネ等住宅に係る住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、それぞれ1,500万円まで非課税となりますか。なお、私は平成21年から平成23年の間にこの非課税の特例を受けたことはありません。

A2 贈与者ごとに1,500万円が非課税となるわけではありません。贈与者が複数の場合には贈与を受けた金額を合計し、そのうち1,500万円までを非課税とすることができます。つまり、受贈者1人について1,500万円が非課税の限度額となっています。

父から居住用の不動産の贈与を受けた場合

Q3 父から居住用の不動産の贈与を受けましたが、非課税の特例は適用できますか。

A3 非課税の特例は居住の用に供する家屋の新築若しくは取得又は増改築等の対価に充てるための金銭の贈与を受けた場合に限られていますので、不動産の贈与を受けた場合には非課税制度の対象となりません。

住宅ローンを返済するために金銭の贈与を受けた場合

Q4 現在居住している住宅のローンを返済するために、父から金銭の贈与を受けましたが、非課税の特例は適用できますか。

A4 非課税の特例は居住の用に供する家屋の新築若しくは取得又は増改築等の対価に充てるための金銭の贈与を受けた場合に限られていますので、住宅ローンを返済するための金銭の贈与を受けた場合には非課税の特例の対象となりません。

非課税の特例の適用を受けた住宅取得等資金の贈与者の相続財産への加算の要否

Q5 住宅取得等資金の贈与者が亡くなった場合、贈与者に係る相続税を計算する際に、非課税の特例の適用を受けた住宅取得等資金は相続税の課税価格に加算するのですか。

A5 非課税の特例の適用を受けて、贈与税の課税価格に算入されなかった金額は、相続税の課税価格に加算する必要はありません。

住宅取得等資金が非課税となる金額以下の場合の申告の要否

Q6 贈与を受けた住宅取得等資金の金額が非課税となる金額以下の場合は全額非課税となるため、申告しなくてもいいですか。

A6 非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年21日から315日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に計算明細書、戸籍の謄本、住民票の写し、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。